荒れる大阪場所と言われて、浪花の三月場所は大荒れになる事で有名だが、そのお株を奪うかのような初場所の土俵。評論家がこぞって優勝候補に挙げていた横綱白鵬は、前回の記事で指摘した不安が的中して、二日連続の金星配給で4日目から途中休場。
一方の横綱鶴竜。2場所連続休場の上に風邪による体調不良のために稽古不十分で、横綱としての責任を全う出来るか懸念されていたが、こちらも白鵬同様に自分の相撲を取らせてもらえずに金星3個配給して1勝3敗。白鵬の後を追うように5日目からの休場が発表された。
大関も貴景勝こそ1敗で踏みとどまっているものの、カド番の豪栄道は4日目にようやく初日が出たものの1勝4敗と勝ち越しも危ぶまれる成績。
初日からの5連勝は平幕の3人だけと、全く優勝の行方は分からない状況に陥っている。
● 優勝を狙えそうな力士達
5日目までの成績
○5戦5勝
西前頭四枚目 正代
西前頭十一枚目 輝
東前頭十四枚目 照強
○4勝1敗
東大関 貴景勝
東前頭筆頭 遠藤
東前頭二枚目 北勝富士
西前頭九枚目 豊山
西前頭十七枚目 徳勝龍
平幕の3力士が全勝で走るが、このまま無傷で行く事も考えられず、まだ5日目という時点では両横綱が休場した今場所は更に混迷の様相が濃くなりそう。一応、1敗までの力士を上記したが、番付上位の実力者は2敗でもまだまだ巻き返しの可能性もなきにしもあらず。
◎ 貴景勝
突き押し一本だけにハマれば幕内有数の破壊力がある。その上、ただやみくもに前に出るのではなく、良く相手を見ての効果的ないなしがあり、突き押し相撲の力士にしては安定感がある。両横綱のいない場所で番付最上位の意地と責任もあり、周囲が崩れれば独走もあり得る実力者。
○ 御嶽海
3年近くの三役を維持して大関の一番手と目されていたが、九州場所で負け越して平幕に陥落。今場所も2敗はしているが、両横綱の休場で残す上位戦は貴景勝だけ。この大関には分が良いので土を付ける事が出来れば一気に優勝争いに割り込んで来そう。優勝経験や優勝争いも豊富なだけに目が離せない存在。
× 遠藤
長い間怪我に悩まされてきたが、ここ2、3場所前から体調に不安が無くなったせいか、持ち前の巧さと粘り強さが戻ってきた感じがする。特に今場所は白鵬に勝った一番でも分かるように足腰の良さが際立っていて、攻められていても余裕があり反撃を期待出来る態勢になっている。番付上位の5人と全て取り組みを終えている点も有利で、今後番付下位の力士との対戦が鍵になってくる。
▲ 正代
下位力士との対戦が続いたとはいえ、まさかここまでやるとは思っていなかった。序盤の3連勝で調子に乗ったようで、4日目の高安、5日目の北勝富士戦と上位にも自信を持って戦えている。これまで指摘されていた上体を逸らせる欠点が消えて、前傾姿勢からの攻めが力強くなっている。まだ半信半疑だが、覚醒したのかどうか今後の番付上位力士との対戦で見極めたい。
△ 北勝富士
4日目まで全て横綱大関相手に白鵬の不戦勝も含めて4連勝。もともと、突き押し相撲特有の勝てば手の付けられなくなる力士だけに、一気に突っ走る可能性もあったが、5日目これまで4戦全敗の正代に呆気なく突き出されてしまった。いつもなら、このまま優勝争いから脱落するところだが、連敗を喫しなければまた勢いを付けられるので6日目の阿炎戦が鍵になる。
△ 朝乃山
序盤3日間の相撲を見ていて、安定感に更に力強さが加わって、このまま突っ走るのでは……、と思っていたが、4日目阿炎、5日目遠藤といつもの懐の深さを往かせずに連敗。このままズルズルと行く力士ではないので6日目の妙義龍戦で連敗を止められるかが鍵になる。大関を狙う一番手として優勝争いに加わらなければならない存在。
以上、両横綱休場という非常事態の中、序盤戦の5日目を終えた時点での優勝争いを展望してみた。まだ、5日目を終えた時点で、しかも両横綱の休場で抜け出た存在がいなくなり、今後どのような優勝争いになるか皆目見当が付かないが、番付からいっても、これまでの実績からみても大関貴景勝が引っ張っていく場所になりそう。
また、怪我に泣いた実力者が苦しんでいる。カド番の大関豪栄道は1勝しかあげられず大関陥落のピンチ。
更に、2場所連続休場で大関陥落して初場所に大関復帰を掛ける高安は2勝3敗と難しい状況。
更に、元大関栃ノ心も怪我が完治していないようで力強さに欠けている。
これら実力者や両横綱も世代交代の波に流されてしまうのか、あるいは押し戻して再び輝けるのか、新旧の攻防も見守っていきたい。
運動後のジョイントメンテ&リカバリーケアドリンク【ランショット】
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