横綱照ノ富士が休場の大相撲秋場所は大関に代わって関脇大の里が単独トップ。中日までに黒星を重ねる大関琴桜、豊昇龍を尻目に2回目の優勝と大関昇進の両手に花を飾るのか
それとも、終盤にかけて大関陣をはじめとする先輩力士達が意地を見せて一矢を報いるのか。更に、先場所大関復帰が叶わなかった霧島が再昇進への第一步を刻むのか
後半に掛けて一波乱もニ波乱もありそうな秋場所のリポートをお届けします
大器・大の里が独走で両手に花か?
中日を終えた大相撲秋場所は関脇大の里が一人全勝ターン。入幕した頃は立ち合い一気の突き押しで、相手を土俵外に運んでしまう桁外れのパワーで圧勝。それは魅力的だが、突き押しだけでは不安定さが付きまとう。
2場所、3場所目に掛けて右差しからの寄る相撲が増えて安定感を増してきた。師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の教えもあるのか、あるいは元々そういう引き出しがあったのか、右四つの形が様になってきた。
入幕後3場所連続2桁勝利の上に優勝までさらってしまった大器に、先場所は研究した他の力士達が意地を見せて9勝止まり。場所前に二所ノ関親方が自ら稽古を付け、奮起を促したのが功を奏したのか、今場所は更にスケールアップ。
その稽古で、「親方は立ち合いの呼吸が上手い」と述べていた大の里。先場所のような立ち遅れはなくなり、相手を見ながらも鋭い立ち合いからの攻め。これから上位陣との対戦が待ち受けているが、優勝と大関の両手に花となるのか。
大関陣や三役力士が意地を見せるか
照ノ富士の休場で最も期待されていた大関琴桜は早くも2敗。優勝に届かない原因の取りこぼしの欠点を今場所も克服出来なかった。いつもの受けながら自分の形に持ち込む相撲だが、今場所は肝心な所での攻めに甘さが出ている。
中には立ち合いから一気に出て勝つ相撲もあったが、それは琴桜本来の取り口ではない。攻めばかりを急ぐと思わぬ不覚をとる事も多くなる。今の取り口で十分。ただ、決める所での鋭さを身に付けて欲しい。まだ逆転の可能性はある。
初日の予想で琴桜、大の里の次に挙げた関脇霧島がただ一人1敗と健闘。立ち合いから一気の攻めではないが、持ち前の足腰の粘りを活かした相撲が取れている。まだ大の里戦を残している上に、琴桜戦も分がいいだけにチャンスは十分。
その他、将来が楽しみな若手力士達
このところ進境著しいのが小結平戸海。178センチ、138キロと小柄だが闘志満々の24歳の若手。一気の突き押しが武器だったが、最近は右四つからの鋭い攻めが見られるようになってきた。将来、大関まで狙える逸材。
もう一人は大横綱大鵬の孫、王鵬。平戸海とは正反対の191センチ180キロの恵まれた体。2年以上、幕内の下位に低迷していたが、今場所は2枚目と自己最高位。持ち前の突き押しに威力が出て、2大関を撃破して波に乗ってきた。