大相撲初場所が始まった。新型コロナウイルスの感染拡大で先行き不安なスタートとなったが、横綱照ノ富士をはじめ大関貴景勝、正代、関脇御嶽海、隆の勝、小結明生、大栄翔などの三役陣と前頭上位に休場者はいない。ただ、元大関高安が所属する田子ノ浦部屋と錦戸部屋の力士や関係者が感染して、十数人に全休の処置が取られた。
観客上限は定員の約半数にあたる5000人。これからオミクロン株の猛威で更に力士や相撲協会関係者に感染者が出た場合、千秋楽まで興行出来るのか不安な面もあるが、そういった不安を打ち消すような白熱した取組が初日から見られた。初場所の優勝を争う3人、番付上位を窺う3人、将来の横綱、大関を狙える期待の若手3人にスポットを当ててみる。
初場所の優勝候補3人
優勝候補の筆頭はやはり横綱照ノ富士。昨年4回の優勝の内3月、5月は12勝と安定感に欠けていたが横綱昇進直後は13勝。そして先場所は全勝優勝と充実しきっている。白鵬のような駆け引きもなく、相手に攻めさせておいて勝てる相撲は他の追随を許さない。どこまで優勝回数と連勝を伸ばせるか楽しみしかない。
照ノ富士を追う一番手は大関貴景勝。昨年首を痛めて後遺症が心配されたが、今場所は思い切って頭から当たれているので心配はない。ただ、押し相撲一辺倒だと安定感に欠けて取りこぼしが増える。最近、再び前回しを取る四つ相撲も研究していると聞く。照ノ富士に離されずに直接対決まで優勝圏内に残れるかが鍵。
幕内優勝2回、三役在位28場所と誰もが認める実力者の関脇御嶽海。しかし、自他共に認めるメンタル面の弱さからか安定感に欠ける。コンスタントに勝ってはいるが、三役での2桁勝利が続かない。決まり手が最も多いのは押し出しだが、貴景勝のような徹底さに欠ける。組んでも取れるのは長所だが、これだけはという絶対的なものが欲しい。
今場所飛躍を期す3人
中学卒業と同時に角界入りした叩き上げの隆の勝。関取には7年半要したが、十両昇進後は着実に力を付けて幕内に上がり、一度怪我で十両陥落も味わったが再昇格後は関脇まで番付を上げて、幕内上位に定着。同部屋の貴景勝との猛稽古で力強い突き押しに磨きがかかった。地味な印象があるが、照ノ富士相手にも一歩も引かない闘志と力強さで有力な大関候補となった。
185センチ、140キロの均整のとれた身体に、足腰の良いいかにもモンゴル出身力士らしい粘り腰の相撲が魅力の霧馬山。来日後3年半で十両昇進を果たすとそのまま幕内に上がり、あっという間に上位に定着。多彩な技の持ち主と同時に変化も多かったが、場所前は合同稽古でモンゴルの後輩豊昇龍と連日の猛稽古。力強さを付ければブレイク必至の有望株。
実業団横綱として幕下付出デビュー後、わずか2場所で十両昇進を決めた逸ノ城。十両も2場所で通過して新入幕の2014年秋場所、いきなり1横綱2大関を倒して怪物と言われてから早くも7年。同じ飛行機で来日した照ノ富士は現役最強の横綱。一念発起したか場所前の合同稽古で精力的に稽古。圧力を掛けて前に出る相撲で怪物が目を醒ますのか。
将来性豊かな大器3人
横綱朝青龍の甥として注目を浴びて初土俵は2018年1月と、まだ4年の豊昇龍。叔父譲りの負けん気の強さと足腰の良さで早くも前頭上位に躍進。132キロの体重では大型化の角界では体力負けの場面も見られるが、負けるにしても一筋縄ではいかない曲者振りを発揮。多彩な技で場内を沸かせるが、もっと圧力を掛けて攻めきる相撲を目指して欲しい。
188センチ165キロと堂々たる体格の琴ノ若。祖父に横綱琴櫻、父に初代関脇琴ノ若を持つサラブレッド。初土俵から6年順調に番付を上げてきて、昨年の名古屋場所前頭3枚目で大関正代を下す活躍を見せたが、膝を故障。先場所もその影響で星を残せず今場所は東前頭14枚目に後退。しかし、今場所は力強い取り口で連勝スタート。攻めの相撲でブレイクの予感。
豊昇龍、琴ノ若に負けない血筋が祖父に昭和の大横綱大鵬、父が関脇貴闘力の王鵬。191センチ181キロの日本人離れした堂々たる体格。同期の豊昇龍に先じて序ノ口優勝の後、序二段、三段目を一場所で通過したが、幕下でやや低迷。今場所新入幕。初日、二日目と体を活かした相撲で連勝。組んで良し、押して良しの大鵬を思わせるスケールで旋風を巻き起こすか。
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