
荒れる春場所と言われる3月場所は、終わってみれば大関大の里が制覇
新横綱の途中休場、予想通りの平幕勢の活躍で波乱の目もあったが……
横綱不在の中、番付最高位が優勝で最後を締め括った春場所のリポート
破壊力で制した大の里
圧倒的な破壊力で、あっという間に大関昇進を果たした大の里。しかし、右差しと、左押っつけの型習得のためか立ち合い一気の攻めが少なく感じられていた。大関から横綱を目指す上での安定感を考えた親方の指導もあったと思うが、それは頷ける。
しかし、その反面大の里の代名詞といえる破壊力に少し陰りが見えていたような、この数場所。しかし、今場所は攻めと安定感の両立が出来る相撲の完成に近付きつつある内容。
もちろん、まだ完璧とはいえないが勝った相撲には風格さえ漂わせている。気になる点といえば、前に出られなかった時の真っ直ぐに引く癖。攻めた後のいなしは効果的だが、守勢に回っての引きは墓穴を掘る可能性が高くなるので戒めが必要。
この優勝で来場所は綱取りになるが、豊昇龍のように反対意見の出る内容ではなく、連覇して満場一致での昇進を目指して欲しい。右差し左押っつけと、持ち前の破壊力を両用出来れば【大の里時代】の到来も近付くはず。
悲願へあと一歩の高安
場所中のインタビューで「相撲の醍醐味を味わっている」と述べた高安。4日目翔猿に負けはしたが、中盤戦までは横綱、大関連破など無双の強さを見せ付け悲願の優勝かと思わせた。
今場所は特に力強く回転の速い突っ張りが効果的で、その上落ち着きが見られた。35歳になって以前程の破壊力は若干薄れたようだが、攻めながらの効果的ないなしも絶妙。10日目に大の里を降して単独トップに躍り出た時点では悲願達成かとも思われた。
しかし、これまで何度も優勝への道を阻まれた終盤戦。11日目、霧島に敗れる。再び単独トップに立った14日目は美ノ海にも苦杯を喫する。優勝決定戦ではがむしゃらな大の里の攻めに屈して悲願ならず。しかし、不屈の闘志がある限り高安の夢は終わらない。
豊昇龍、琴桜の再起は
何度も述べてきたが、横綱昇進に値する成績でないにもかかわらず昇進した豊昇龍。初日早々土を着けられる不安なスタートから、9日目までに金星3個配給という屈辱。特に、阿炎、高安戦は完全な力負けの内容。
結局、右肘痛などで10日目での休場に追い込まれる結果に。先場所のような鋭い立ち合いは少なく軽量を突かれた黒星が多い。もちろん、横綱の責任ではあるが、安易に昇進を決めた協会や横綱審議委員にも猛省を促したい。道は険しいが、復活を期待したい。
念願の初優勝から一気に綱取りを目指した先場所、まさかの5勝10敗に終わった琴桜。余りの不甲斐なさに故障でも発生したのかと思っていたが、精神的重圧からの歯車の狂いが原因。場所前は出稽古に出るなどして、万全の体調で臨んだかに見えた。
しかし、初日から黒星を喫して波に乗り切れない。勝った相撲でも力強さに欠けて浮き足立っているように見えた。中盤、連勝で挽回かと思われたが結局8勝7敗で陥落を免れただけ。来場所、大の里に楽々と昇進を許すようなら万年大関で終わりかねない。