
連日満員御礼で熱戦が繰り広げられる大相撲秋場所
大関琴桜はほぼ脱落したが、両横綱による優勝争い
久しぶりに横綱決戦になりそうな秋場所のリポート
圧倒的な破壊力・大の里
4日目、攻め急いで土俵際で伯桜鵬に突き落とされた以外は、ほぼ危なげなく星を伸ばしている東横綱大の里。先場所度々見られた叩きもなく、攻め切れない相撲でも我慢して前に出ている。横綱2場所目で落ち着きが見られるのが良因か。
動きのある力士や平幕勢とはほぼ対戦が終わって、残りの相手は三役以上の力士が殆ど。ほぼ、真っ正面から当たってくる力士達だけに、実力的には侮れないものの案外取りやすい対戦相手が続く。
もう一人の横綱と対戦するまでは一つの取りこぼしなく、全て倒して千秋楽決戦に臨みたいところ。仮に1差付けられた状況での戦いになれば不利は否めないが、一日一番で集中して己の力を信じて千秋楽まで駆け抜けて欲しい。
ここまでは万全・豊昇龍
横綱昇進3場所で全く責任を果たしていないと評された西横綱豊昇龍。今場所も不甲斐ない成績で終わったら相撲協会内外から批判に晒される可能性もあった。その危機意識もあったのか、今場所は見違える相撲内容で全勝ターン。
際どい相撲や立ち合い変化気味の一番もあったが、追い込まれた横綱として8連勝は自信に繋がるはず。これまでと特に変わった相撲ぶりではないが、持ち味のスピードと強力な投げ技が嵌まっている感じ。
うるさい相手や、苦手意識がある力士との対戦は殆ど終えて残りは殆ど三役以上。気になるのは新小結安青錦との対戦が残っている点。三役勢との対戦を無傷で切り抜けられれば、対大の里戦は勝ち越しているだけに優勝の可能性が高くなる。横綱での初優勝へ向けて試練の7日間が始まる。
不気味な新小結・安青錦
優勝争いはほぼ両横綱に絞られた感があるが、面白いのは小結安青錦。ここまで2敗だが、負けた相手は大の里と王鵬。いずれも立ち合いからの破壊力を誇る相手。140キロと昨今の大相撲では軽量の部類で、これまでは立ち合いから一気の突き押しでくる相手は苦手と言われていた。
しかし今場所は簡単には押されず、突き押しを掻い潜って回しを引く相撲が更に多くなっている。どんな相手にも独特の低い姿勢で、簡単に頭を上げる事なく自分の相撲が取れている。特に、最近の4連勝は三役、平幕勢の実力者相手に粘っこい相撲で勝っていて自信になっているはず。
豊昇龍と2差だが、直接対決が残されているだけに勝てば先場所同様に優勝争いに食い込める。まだ初土俵から12場所目。序の口からの12場所での三役昇進は最速。21歳と若く、上がり目を考えれば将来は大関、横綱との声も聞かれる。ウクライナ出身の力士が戦地に勇気を届けられるか。
全勝 豊昇龍
1敗 大の里 隆の勝 正代
優勝争いは1差あるだけに豊昇龍が優位だが、若隆景、霧島の両関脇と安青錦の対戦を残すだけにやや不安もある。
大の里は千秋楽を前に豊昇龍と並べればチャンスは大きくなるが、1差のままだと千秋楽に本割り、優勝決定戦と2番勝つのは厳しい。
ほぼ、両横綱による優勝争いと思うが、もし安青錦が豊昇龍に勝てば大の里も加えた三つ巴の混戦になる可能性もあり得る。