横綱照ノ富士の休場で場所前から混戦が予想された大相撲九州場所。混戦自体はファンからすれば面白いのだが優勝ラインが下がり過ぎではしらけた感じになるのも事実。しかし、中日を終えて全勝こそいないが1敗力士が4人となかなかなハイレベルな争い。その中に大関が入っていないのは困ったものだが、平幕優勝当たり前のご時世だけに致し方ないところか……。
その中で関脇豊昇龍と元大関高安が場所をリードして行きそうな気配が濃厚。若い豊昇龍が初優勝で叔父の元横綱朝青龍のように一気に新しい時代を切り開く第一歩とするのか。あるいは充実一途の高安が再び大関を目指す足掛かりの場所とするのか。それとも、2敗、3敗力士にもチャンスが出てくるのか……、後半戦を占ってみたい。
中日までの成績
7勝1敗
西関脇 豊昇龍
東前頭筆頭 高安
西前頭9枚目 阿炎
西前頭13枚目 王鵬
6勝2敗
東大関 貴景勝
西前頭5枚目 錦富士
5勝3敗
若隆景 霧馬山 琴ノ若 北勝富士
竜電 妙義龍 阿武咲 琴勝峰
一山本 輝 平戸海
優勝は誰の手に
今年の5場所全て優勝力士が違うという異例な一年の納めの九州場所。4日目にして早くも全勝力士がいなくなるという事態で、低レベルの優勝争いが懸念されたが豊昇龍、高安、阿炎、王鵬の4力士が1敗を保っている。優勝ラインは13勝か12勝と考えれば、中日までで1敗の4人と2敗の2人までか。3敗力士にもチャンスはあるが、この後全勝出来る程の実力者は見当たらず苦しいか。
その中で優勝争いの一番手には高安を推す。今年春場所、秋場所と二度にわたって千秋楽まで優勝を争いながら悲願の初優勝を逃してきた。序盤に足を痛めて心配されたが、その影響は皆無のように連日気迫溢れる相撲で白星を重ねている。立ち合いから圧力を掛けて前に出る積極的な相撲が光る。既に翔猿以外の役力士との対戦は終えている上、32歳にして今が最も充実している点から優勝に最も近い存在。
対抗には関脇豊昇龍を挙げる。前に出て攻め切る力には欠けているが、元横綱で叔父の朝青龍を彷彿させる気力と足腰の良さは群を抜いている。軽量で土俵際まで持っていかれても粘り腰と多彩な技で白星をもぎ取る。まだ23歳という若さで将来角界を背負って行く存在だが、ここで優勝するようなら朝青龍のように一気に番付を駆け上がる可能性もあり、今場所だけでなく来場所以降も目が離せない存在。
三番手には大関貴景勝と休場で番付を下げた実力者阿炎。序盤での連敗が大きかった貴景勝だが、このところ相手を良く見て立ち合いから圧力を掛ける相撲で4連勝。相変わらず回しを取られたら脆い面はあるが、押し相撲特有の乗ったら怖い点と、大関の責任感で突っ走る可能性はある。一方、全休で前頭下位に甘んじているが、この地位では実力的に抜けている阿炎。引いて墓穴を掘る危うさはあるが、長い腕から繰り出される突き押しは相手にとっては厄介。上位に当てられても実力的に見劣りはしないだけに、優勝争いの鍵を握りそうな予感がする。
大関陥落&復帰
今場所のキーワードとも言える大関。先場所負け越して今場所8勝が必要な正代。これまで大関昇進後5回の負け越し。特に今年は負け越しと勝ち越しの繰り返しで何とかピンチを凌いでいる有り様。それも序盤戦で連敗しながら後半戦で巻き返してきたが、全く大関としての責任は果たしていない。これから役力士との対戦が始まるが、今のままの状態では厳しく、一度陥落してやり直した方が正代の為になりそう。
一方、先場所負け越して関脇陥落の御嶽海。今年の初場所13勝2敗の好成績で優勝と共に念願の大関昇進。更に上の地位を期待されたが、肩などの怪我で僅か4場所で大関陥落。今場所10勝以上での復帰が期待された。しかし、序盤戦4勝1敗で乗り切った途端にまさかの3連敗。怪我の影響で稽古不足もあるのだろうが、今の相撲内容では厳しい。例え今場所復帰出来なくても体調を整えて再び大関を目指して精進して欲しい。
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