一週間にわたって行われた卓球の日本選手権。今年は2024パリ五輪の代表選考対象大会で男女シングルスに注目が集まったが、男子は戸上隼輔が2連覇。強豪が集まった女子は早田ひなが3年振り2回目の栄冠に輝いた。ただ、一週間という長丁場の上に2年以上の長期間にわたる代表選考対象大会やTリーグで疲弊している選手も多く見受けられた。選手の故障回避の為にも選考大会数を絞った方法を考えて欲しいと切に願う。
男子シングルス
準々決勝
戸上隼輔 4ー1 田中佑汰
篠塚大登 4ー3 及川瑞基
張本智和 4ー1 吉山僚一
曽根翔 4ー0 宇田幸矢
準決勝
戸上隼輔 4ー3 篠塚大登
張本智和 4ー1 曽根翔
決勝
戸上隼輔 4ー2 張本智和
パリ五輪選考レースや国際大会で好調な張本智和が本命と見られていたが、昨年のこの大会で初優勝した戸上隼輔が攻撃的な卓球を貫いて連覇を達成。プロレスが好きでアントニオ猪木に勇気を与えてもらう事が多かったという戸上。「元気ですかー!!」と、昨年亡くなった猪木さんの決め台詞で会場に呼び掛けて喜びを表した。昨年の初制覇以来、国際大会などで結果を残せずにいた戸上。「世界ランキング20位以内を目指したい」と力強く宣言した。
実力的には第一人者とみられながら全日本選手権ではなかなか強さを見せられない張本智和。2018年に14歳で王者・水谷隼を下して初優勝を飾った時は『張本時代』到来と思われたが、2020年に決勝進出しただけで良績は残せず。今年は国内外で実績を残し、今大会も男子ダブルス、混合ダブルスを制して40年振りの三冠が期待されたが5年振りの戴冠はならなかった。「戸上選手の攻撃に圧倒されていました」と、攻撃的な選手に安定して勝つ力がまだないと反省。来年へのリベンジを誓っていた。
女子シングルス
準々決勝
横井咲桜 4ー2 出雲美空
木原美悠 4ー0 鈴木李茄
石川佳純 4ー1 佐藤瞳
早田ひな 4ー0 平野美宇
準決勝
木原美悠 4ー1 横井咲桜
早田ひな 4ー0 石川佳純
決勝
早田ひな 4ー2 木原美悠
女子ダブルス、混合ダブルスに続いて女子史上4人目の三冠を達成した早田ひな。2021年の東京五輪後、石川佳純、伊藤美誠、平野美宇の代表3選手が一息入れていた間に代表漏れの悔しさをぶつけてあっという間に世界ランキング一桁に突入。パリ五輪選考レースも圧倒的な強さで独走態勢。平野、石川をストレートで退け、「今回は勢いではなく実力」と自信満々。しかし、東京五輪代表組が本腰を入れてくる今後が試金石になる。
伊藤美誠が6回戦で敗れる波乱もあり、組み合わせにも恵まれた感はあるが決勝戦で早田ひなを苦しめたのは18歳の木原美悠。2022年世界ユース選手権U19女子シングルス、女子ダブルスの二冠。数年前から長崎美柚と共にWみゆうとして次世代のホープと注目を集めてきた。2019年には14歳にして全日本選手権準優勝する等実績は十分。今大会は圧倒的強さの早田ひなに対して2ゲーム先取。その後、戦法を変えた早田に対応し切れず逆転を許したが、速いピッチの攻めは特筆もの。
パリ五輪選考は
男子選考ポイント
1 張本智和 229
2 篠塚大登 153
3 戸上隼輔 150
4 及川瑞基 111.5
5 吉村真晴 105
6 曽根翔 94
7 吉山僚一 91
8 田中佑汰 90
女子選考ポイント
1 早田ひな 224
2 木原美悠 156
3 平野美宇 134
4 伊藤美誠 127.5
5 石川佳純 127
5 芝田沙季 107
7 長崎美柚 107
8 佐藤瞳 94
パリ五輪代表選考方法は指定された国内外の大会で1位から8位、ベスト16、32以内、更にはTリーグの成績、国際大会で中国の世界ランキング上位に勝つ等に与えられるポイントの合計で決まる。現在の得点からみて男女1位の張本智和、早田ひなが断然有利なのは間違いない。しかし、来年の全日本選手権を最後にそれまで7大会残されている。しかも、今後一年間の大会はこれまでのポイントの2倍与えられる。まだまだ、予断は許されない状況にある。
ただ、一つ気になる点がある。パリ五輪代表は3人だが、この選考ポイントで決定するのは上位の2人だけ。残りの一人はその2人とダブルスで組めて、シングルスでも期待出来る選手を選ぶという事になっている。確かに、団体戦にダブルスの試合があるのは分かるが、これではポイント3位になりながら、上位の2人とダブルスで組んでいないという理由で選考漏れになる可能性が出てくる。以前、フィギュアスケートの代表選考でも述べたが、日本の年寄り達の自分たちの意を通そうという悪弊がここでも出ている。2年間も掛けて戦うのだから、後腐れがないようにスッキリとポイント上位3人を選んでもらいたい。
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