いよいよ今日(12月12日)から卓球の2019年シーズンを締めくくる『ITTFワールドツアー•グランドファイナル』が中国の鄭州市で開幕。
男女のワールドツアー成績上位16選手が出場する男女シングルスのほかに男女ダブルス、混合ダブルスのナンバーワンを決定する注目の大会。
今年はそれに加えて、来年の東京オリンピック日本代表が決まる大一番にもなっている。男子シングルスで水谷隼が逆転を狙うが、女子も石川佳純と平野美宇が僅差で競っている。特に注目度が高い女子シングルスの争いを占ってみる。
● 東京オリンピック代表選考規定
日本のオリンピックや世界選手権代表選考は決定基準が曖昧でよく揉める事がある。夏場に行われたマラソンの代表選考も、男女3人の代表枠の内、MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で上位2人は決定したが、3人目は他のレースで基準タイムを満たせば滑り込めるような選考方法になっている。
オリンピックに限らずスポーツは一発勝負。決められた大会の上位選手をそのまま代表に選考すればゴタゴタは起こらない。日本の競技団体の理事達は自分達の意見を代表選考に挟みたいゆえに、わざわざ揉め事の種を蒔いている気がする。
卓球の代表選考も同様。男女共にランキング上位2選手は自動的にシングルスと団体戦の代表に決定するが、団体戦に出場する3人目は団体戦のダブルスに貢献出来るか云々……と、また敢えて競技団体の意見で選ぶ余地を残している。
それはおいておくが、卓球の東京オリンピックシングルス代表は男子は張本智和(木下グループ)が既に決定して、2枠目を丹羽孝希(スヴェンソン)水谷隼(木下グループ)が争っている。
ポイント的には丹羽がリードしているが、『グランドファイナル』に出場資格が無いので水谷に逆転のチャンスは残されている。ただ、その条件はベスト4進出。実力者水谷が最後に意地を見せて逆転なるか注目。
● 一騎討ち女子シングルスの展望
問題は女子。男子同様に伊藤美誠(スターツ)は既に代表決定。残り1枠を巡って石川佳純(全農)平野美宇(日本生命)の二人が熾烈な争いを続けている。
先週の『ノースアメリカンオープン』が行われるまでは平野が65ポイントリードしていたが、その大会で石川と平野が勝ち上がって決勝で激突。石川が激戦を制して逆に135ポイントリードに変わってしまった。
そして、男子と違って女子は『グランドファイナル』に石川と平野が揃って出場する。仮に両者が同じ成績に終わった場合は石川の逃げ切り。平野が逆転するには石川より上位に食い込むしかない。今シーズン活躍した実力者だけのハイレベルな大会だけに、一試合勝ち上がるのも容易ではないが、石川、平野共に実力者だけに勢いに乗って上位進出の可能性もある。
注目の1回戦の組み合わせは抽選の結果、石川が世界女王で世界ランク3位の劉詩ブン(中国)、平野の相手は世界ランク18位の王(中国)。組み合わせ的には平野が恵まれた感が無きにしもあらずだが、二人共に中国の実力者だけに平野も予断は許されない。
特に、石川はこれまで劉詩ブンには11戦全敗だけに、まずその苦手意識を払拭したいところ。そのためには先週の平野戦のように常に先手を取る事と、接戦に持ち込んで勝負強さを発揮出来るかにかかっている。
一方、平野は相手が世界ランク18位とはいえ、今シーズンのポイントでは上位の王だけに安心は出来ない。対戦成績は0勝1敗とまだお互いに手の内は分からないが、2年前に中国選手を震撼させた『ハリケーンヒラノ』を遺憾なく発揮して、スピードで相手を圧倒して欲しい。
最後に、前述したように理事達が恣意的に決める事のないように、団体戦メンバーの3枠目もランキング上位3人目の選手を選んで欲しい。ダブルスは一流選手ならどんなコンビでも出来る。それより、ダブルス要員としてだけでなく、団体戦のシン グルスにも出場するのだからランキング上位3人を選ぶのは当然の事。
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